「リサと悪魔」と「新・エクソシスト」
「リサと悪魔」(死肉のダンス)と「新・エクソシスト」のカップリングDVDから。
私が入手したのは輸入版ですが以前国内版DVDも出されたようです。
この2作が1枚のDVDに抱合せで収録されているのにはマリオ・バーヴァ監督作品であること以外の大きなワケがある。
まずは
「リサと悪魔」Lisa and The Devil
1972年/イタリア映画
製作:アルフレード・レオーネ 監督:マリオ・バーヴァ 音楽:カルロ・サヴィーナ
主演
エルケ・ソマー/テリー・サヴァラス/シルヴァ・コシナ /アレッシオ・オラーノ
エジュアルド・ファジャルド/ガブリエレ・ティンティ /アリダ・ヴァリ
オープニング・タイトル
物悲しくも美しいテーマ曲はホラーというよりは まるでメロドラマ。(サントラ盤がほしくなります。)
リサ(ソマ-)はイタリア古都観光ツアーに参加し、
古い建物に描かれた悪魔の壁画を見た後
古びた工芸品店でその悪魔そっくりの男(サヴァラス)と遭遇する。
気味の悪さを感じて店を出るが
ツアー一行からはぐれたリサは路地に迷い込んで広場への道がわからなくなり、
必死に路地から抜け出そうとするが、だんだん日が暮れてとうとう辺りは真っ暗になってしまう。
と、そこへ1台のクラシックなクルマが通りかかり、リサは彼ら(コシナ/ファジャルド/ティンティ)のクルマに便乗させてもらうが、実は彼らも道に迷っていた。
しばらくするとクルマはエンコし、すぐそばの屋敷から例の悪魔そっくりの男が顔を出して一夜の宿としてその屋敷に宿泊してもいいと言う。
リサ一行はその提案を懸念しながらも甘んじることに・・・
男(サヴァラス)は盲目の女主人(ヴァリ)の召使いで女主人の息子(オラーノ)はリサに特別な感情を抱いている様子だがリサもこの息子に惹かれている自分に気付く。
だが食事を終え、しばらくしてクルマの修理をしていた運転手(ティンティ)が何故か死体で発見。
これを機にゲストたちは次々に殺され、魔物たちが本性をあらわす。
リサは前世にまつわる運命の絆に導かれ、悪魔の罠にはまってしまったのだ。
この映画は日本劇場未公開で後のビデオ邦題は「死肉のダンス」となっているがNHKのBS-2で放送された時は原題のまま「リサと悪魔」 。
最初の出会いはこの放送でこの題名の方がはるかにいいと思う。
リサが目を覚ますと屋敷は枯葉にまみれ 荒廃している。
やっと悪夢の世界から抜け出せた・・・
帰りの旅客機に乗り込んでホッとひと安心するリサ。
しかし・・・
恐怖の結末・・・(ネタばれになるのでこれからちゃんと見ようという方は見ない方がいいですよ。)
追い討ちをくらう結末はゾ~~~っとさせ、バーヴァ演出の幻想的で古風な映像がその無気味さと相俟って独特の雰囲気を作り出しており、古典ホラーの味わい豊かな作品に仕上がってます。
『悪夢』の雰囲気と感覚を楽しみたい方にお薦め。
ただ、興行的にはあまりヒットしなかったようで・・・
そして------------------
爆発的世界ヒットとなったウィリアム・フリードキン監督「エクソシスト」の成功を見たプロデューサーのレオーネは2年後に商魂たくましく「リサと悪魔」のフィルムに新テイクを後撮りして継ぎ足し、グラインドハウス(大衆劇場)向けに無理矢理悪魔祓いの話しへ作り変えたのがこれ。↓
「新・エクソシスト」House of Exorcism
1975年/イタリア・アメリカ合作映画
追加出演:ロバート・アルダ
店で悪魔に出会ったリサはそこで悪魔にとりつかれ、道に迷ってからのリサの行動は悪魔にとりつかれた彼女の脳裏の幻影もしくは心の葛藤として解釈させようとした。
そのリサの悪魔祓いをするのが後撮りされたロバート・アルダ扮する神父の新カット。
これだけではクレームがつくとふんだレオーネは「リサと悪魔」では意図的にカットしたソマ-とコシナのヌードシーンを解禁し、たっぷりとお披露目、さらに悪魔が神父の死別した妻の姿をかりて神父を誘惑するシーンとして別カットの女優のヌードを付け足した。
「リサと悪魔」(左)ではここまでだが、「新・エクソシスト」(右)ではここまで見せる・・・
「新・エクソシスト」の予告編
音楽もオリジナルである「リサと悪魔」のロマンチックな雰囲気から一転したものに挿げ替えている。
かなりズタズタでメチャクチャなダメ編集映画だが興行的にはこちらの方がヒットしたようで作品として成り立っていること以上に大衆の俗欲を満たすことがいかに重要かを見た気がする。
個人的にはもちろん「リサと悪魔」をお薦めしたいが「新・エクソシスト」はそのオマケ(特典)として見ると映画の裏側を垣間見るようで興味深い。
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