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2012年4月

2012年4月12日 (木)

アナザー・プラネット

「アナザー・プラネット」 Another Earth
2011年/アメリカ映画

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監督・脚本・撮影・編集:マイク・ケーヒル
音楽:フォール・オン・ユア・スウォード

主演
ブリット・マーリング    (ローダ)
ウィリアム・メイポーザー (ジョン・バロウズ)


メイン・テーマ(音楽:フォール・オン・ユア・スウォード)

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ローダ(ブリット・マーリング)は宇宙物理学を学び、将来エリート路線を約束された学生のはずだった。

ある日突然上空に地球そっくりの惑星が出現!

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運転中そのニュースをカーラジオで聞いていたローダは思わず上空を見上げ、前方不注意で交通事故を起こしてしまう。

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相手の車に乗っていた3人家族のうち母親と子供が死亡、父親は重傷の大事故だ。

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その罪を償うため4年間刑務所に服したローダは

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刑期を終えて出所

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一転して清掃員の仕事をする日々

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上空の惑星は『アース2』と名づけられ

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注目されながらもその異様な風景はいつしか日常の一部となっていた。

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ローダは事故現場にふらっと訪れるが

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そこにオモチャをたむける人物を目撃

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あの事故で生き残った父親だ。

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ローダはネット検索でその人物が著名な音楽家ジョン・バロウズ(ウィリアム・メイポーザー)であったことを知る。

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ネットに載っていた住所をこっそり訪ねたローダは

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ジョンが妻と息子を失って荒んだ生活に落ちている姿を目撃し、

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その帰り道

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罪の意識にさいなまれて自殺をはかるが

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命はとりとめる。

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そんな中、ローダはインターネットで見つけた「アース2旅行」懸賞に応募してみた。

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しばらくして、事故の謝罪だけでも・・・とローダは再びジョンの家を訪れるが言いそびれてしまい、

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とっさに『お試しハウスクリーニングキャンペーン』を装う

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清掃を終えて帰ろうとすると定期的な清掃を依頼されジョンの家に出入りするように。

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次はちゃんと言おう・・・・と練習するが

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言い出せる空気ではなかった。

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それをよそに、しだいに打ち解けていくローダとジョン・・・

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The House Theme(音楽:フォール・オン・ユア・スウォード)

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一方、アース2へコンタクトするプロジェクトがテレビ公開され
向こうの惑星から返答が・・・
なんとその声の主はこちらの発信者と同一人物らしい

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どうやら突然現れたこの惑星は地球のコピーらしいことが判明し

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翌日から巷ではアース2を感慨深く見上げる人々もチラホラと

自分と同じ人物があの星にもう一人存在する・・・
いったい向こうの自分はどんな生活をしているんだろう?・・・

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ジョンは再び音楽へ向き合う気持ちを取り戻してローダに自分の音楽を披露してみせるまで立ち直る。

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ローダは罪の償い意識が強いこともあってかジョンとその夜、男女関係を結んでしまう

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そんな日々が続くうち、

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ローダの応募した懸賞が当たり、アース2へのチケットを入手!

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一躍時の人となる。

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ローダはついにジョンへ本当のことを伝えるがジョンは手のひらを返し怒りにかまけて彼女を追い出してしまう。

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ローダはアース2へのチケットをジョンに譲って彼のもとを去った。

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時は流れ、

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ローダも殺伐とした自分の部屋に花を飾る余裕も

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いよいよアース2への出発の日・・・
テレビで嬉しそうなジョンの姿を見たローダは『これでいいんだ』と割り切っていた。

・・・さらに4ヶ月後

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空にアース2の姿はもう無い・・・

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そして、

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ローダはこの地球で思いがけない人物に出会う・・・

エンドタイトル(音楽:フォール・オン・ユア・スウォード)

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主演のブリット・マーリングは脚本にも参加しています。

SF? ファンタジー?
どのカテゴリーか迷ったが多分にドラマの要素が強く『アース2』はある象徴として存在するもの。

もう一人の自分』の存在を考えたとき人は何を思うか・・・

人生は多くの分岐点で選択した事によって大きく変わっていくものだとしたら
違う人生を歩むもう一人の自分に対して今の自分に自信が持てるか・・・ということ。

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ここでは紹介しなかった清掃員の同僚である老人とローダのエピソードも注目。

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優しい気持ちにさせる映画で、結末はぜひ本編を見て確認してほしい。

きっとローダと自分を置き換えて見ている自分がいるはずです。

予告編

個人的見解だがラスト、私は地球とアース2は重なり合ったのだと思った。
アース2の出現によって違う人生を体験し、人として一回り強くなったローダとアース2にいた順風満帆のローダが重なり合う最後の瞬間なんだ と。

Photo

ちなみにビデオ邦題を「アナザー・プラネット」としたのは非常に良くない。
『もう一つの地球』が出現したことがカナメであり、他の惑星ではないわけで原題"Another Earth"EARTHに特定したのは大きな意味があるのだ。
カタカナにすると『お尻』と誤解される・・・なんてゲスなかんぐりがあったなら改めるべきで「アナザー・アース/もうひとつの地球」とサブタイトルを入れれば済むことじゃないだろうか。(アが並ぶとゴロが悪いなんて法則も例外にすべき)
最近、いいかげんな邦題が目立つが、もっとしっかり作品の内容を反映した邦題を考えてもらいたいもんだ。

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サンダンス映画祭 審査員特別賞受賞作

2012年4月 5日 (木)

遊星からの物体X ファーストコンタクト

「遊星からの物体X ファーストコンタクト」The Thing
2011年/アメリカ・カナダ合作映画

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監督:マティス・ヴァン・ヘイニンゲン・Jr
音楽:マルコ・ベルトラミ(物体Xのテーマ:エンニオ・モリコーネ)

出演
メアリー・エリザベス・ウィンステッド(ケイト・ロイド)
ジョエル・エドガートン        (カーター)
ウルリッヒ・トムセン          (サンダー・ハルヴォーソン博士)
エリック・クリスチャン・オルセン  (アダム・フィンチ)
ポール・ブラウンスタイン      (グリッグス)
トロン・エスペン・セイム       (エドバード・ウォルナー)
キム・バッブス             (ジュリエット)
ジョナサン・ロイド・ウォーカー   (コリン)

ジョン・カーペンター監督の1982年リメイク版をベースに、その前章に当たる南極ノルウェー基地での出来事を描く。

オープニング・タイトル(作曲:マルコ・ベルトラミ)
末尾にエンニオ・モリコーネの前作テーマをチラッと聴かせる。

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偶然のアクシデントで氷下のUFOを発見するところから始まります。

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古代生物学者ケイト(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)

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急遽南極のノルウェー基地へ呼ばれ、

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巨大なUFO発掘現場に案内されるが

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別の場所で氷に閉じ込められたエイリアンも見せられる。

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その夜、夜空の星を見上げて感慨にふけるケイト・・・

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翌日、氷を切り出し基地へエイリアンを搬送して調査開始。

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だが、世紀の大発見にうかれているすきに

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エイリアンが蘇生し、基地外へ逃げ出してしまう。

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隊員総出でエイリアンを探すが

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最初の犠牲者が出てしまい、

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やむなくエイリアンを焼き殺す。

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エイリアンの死体を解剖すると

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中から犠牲者の姿をしているが本人ではない固体を見つけ立ち会った隊員たちは唖然とする。

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その物体は細胞レベルで取り込んだ生物に擬態することが明らかになり、

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ケイトはある疑惑を抱く。

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散会し、犠牲者の血を浴びてショック状態の隊員を病院に搬送するためヘリで基地を離れようとする一部のメンバー・・・

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ふとケイトは床に抜け落ちたイミテーションの歯を見つけ、

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疑惑は確信となった。

『アレが隊員の誰かに擬態している!』

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ケイトは急いでヘリの発進を阻止しようとするが

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機内では物体Xが正体を現し、

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ヘリは遠方へ墜落してしまう。

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ケイトは残った隊員たちに事態の深刻さを説く。
あの物体は擬態時全ての細胞をリニューアルするため治療した歯もマッサラで健全なものになるのだ。
しかもその痕跡を片付けた者がまだこの基地内にいる。
ケイトは全員この基地に留まり、詳しく調査する必要性を提言するがチームのリーダーはまともにとりあわず一蹴

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ミーティング後、隊員のジュリエット(キム・バッブス)はケイトに痕跡をかたずけていた者を目撃したとこっそり話し

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ケイトをある部屋に連れて行くが

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そのジュリエットから物体Xが正体を現し・・・

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ケイトに襲いかかる!

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ケイトは辛うじて回避するが

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他の隊員が犠牲に・・・

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騒然とする中、着実に犠牲者の輪が拡がっていく・・・

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隊員たちも事態を呑み込みケイトは隊員に歯の治療痕があるか否かで物体Xを見分けようとするが、

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疑惑のため監禁していたヘリの生き残りが脱出する騒ぎに乗じ、

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物体Xがいっきに攻撃にでる!

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次々と物体Xへ取り込まれていく隊員たち・・・

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ケイトたちは物体XがUFOへ戻り、起動発進するのを阻止できるか・・・

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UFOへ同行したカーター(ジョエル・エドガートン)と再びおち合うが

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様相の変化に気づく
彼の左耳にあったはずのイヤリングが・・・

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そしてケイト自身も気付かぬうちに物体と同化してしまったんじゃないか・・・?と懸念を残す。

雪上車の運転操作を知らないはずのケイトが難なくワイパーのスイッチを入れ、そんな自分にハッと気付いた?(のかどうかは定かでないが)

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ラストはオープニングでも少し顔を覗かせたモリコーネのあのテーマが再び流れ、カーペンター版のオープニングにつながるシーンで終わります。

物体Xのテーマ(エンニオ・モリコーネ)

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前作につなげるためにあまり大きくスタイルを崩せなかったことが裏目となって展開自体もカーペンター版そっくりなのが残念ですが見せどころも多く、

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メアリー・エリザベス・ウィンステッド他女性が加わったことで前作との違いをアピールしていて

物体Xの生物的なグロテスクさのビジュアル表現がCG時代にリメイクされた意義の一つになっているようにも思います。

Making

もちろん、従来の造形技術は作品の完成度を左右する。
これに部分的なCG補正が加わる

コンセプト&クリーチャーデザインイラスト
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グリッグス

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ジュリエット

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予告編

もしかしたら更なる続編が期待できるかも?

2012年4月 1日 (日)

夜の訪問者

「夜の訪問者」 De La Pert Des Copains / Cold Sweat
1970年/フランス映画

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監督:テレンス・ヤング
製作:ロベール・ドルフマン
原作:リチャード・マシスン
撮影:ジャン・ラビエ
音楽:ミシェル・マーニュ

出演
チャールズ・ブロンソン (ジョー・マルタン)
リヴ・ウルマン      (ファビアンヌ)
ジェームズ・メイソン 
 (ロス大尉)
ジャン・トパール      (カタンガ)
ジル・アイアランド    (モイラ)
ルイジ・ピスティリ   
 (ファウスト)
ミシェル・コンスタンタン(ベルモン)
ヤニク・ドリュール    (ミシェル)

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ジョー・マルタン(チャールズ・ブロンソン)

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彼はフランスの港町で自家用ヨットをチャーターして生計を立てている。

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人当たりも良く、客からの信頼は篤い。

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仕事を終えると仲間とポーカーでもうひと稼ぎ。

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帰宅すると飼い犬のジャズがお出迎え、妻のファビアンヌ(リヴ・ウルマン)はリビングでテレビを見ており、毎晩帰宅が遅いジョーに不満を愚痴るが

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ちゃんとポーカーで勝った金をファビアンヌへ渡すと機嫌も良くなることは心得ている。

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そこへ電話がかかってきてジョーが受話器を取ると、「お前はジョー・モランか?」と問うおかしな相手・・・さらに「お前を殺す。」ときたから穏やかではない。

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外に怪しい人影を見つけ、ファビアンヌに2階で隠れているよう指示したジョー。

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間もなく一階でジョーが何者かと争う物音が聞こえ、ファビアンヌが心配して駆けつけると、キッチンに見知らぬ男が・・・

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ジョーは額に傷を負い床に倒れていた。

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男の名はベルモン(ミシェル・コンスタンタン)

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ジョーとは知り合いらしく、以前ジョーの人命救助逸話が新聞記事になったのを見ておしかけたようだ。

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ベルモンは銃で脅しながらジョーのヨットをある取り引きに利用させろと強要するが、やばい取り引きであることは明白だ。

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スキを見てジョーが跳びかかり、

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逆にベルモンを殺してしまう。

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脅えるファビアンヌにジョーはベルモンとの馴れ初めを話す。

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ジョーは些細な事で軍の刑務所に収容され、ベルモンとはそこで知り合い、他の仲間と脱獄するが、

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運悪く塀の外で巡回中の警官と出くわしてジョーは仲間の一人が警官をナイフで殺害したのを見て仲間に懸念を抱き、置き去りにして独り車で逃げたのだった。

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警察に通報すると間違いなくジョーは刑務所行き・・・ファビアンヌはベルモンの死体遺棄を手伝うことにする。

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海岸の絶壁からベルモンの死体を投げ棄て、

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夜明けに帰宅すると

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招かざる客が待っていた。

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他の脱獄仲間たちだ。

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ロス大尉(ジェームズ・メイソン)

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ファウスト(ルイジ・ピスティリ)

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そして脱獄時、警官を殺したカタンガ(ジャン・トパール)の3人。

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彼らはジョーの娘ミシェルがサマーキャンプ中なのも知っており、家族を人質にジョーのヨットを取り引きに使わせるよう念をおし、ジョーはしかたなく承諾する。

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カタンガと港へ出かけ、ジョーを待っていた予約客を追い払い

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取り引き場所へヨットを出すが、

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カタンガに跳びかかり睡眠薬を注射して引き返し、

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サマーキャンプ中の娘ミシェルを身柄確保に行くがすでにロスたちによって連れ去られた後だった。

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ジョーは空港へ出かけ

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先に待っていたファウストをノックアウトして

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取り引きの金を持ってロスたちと合流する手はずのモイラ(ジル・アイアランド)を待ちうけ、

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仲間を装ってモイラを車に乗せると

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辺鄙な岩場にポツンと建つ粗末な小屋に連れて行き、

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モイラを監禁。

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金とモイラを人質に家族と交換するようロスとかけあい承諾させる。

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小屋の場所へロスたちとファビアンヌ、ミシェルを連れて行くジョー・・・

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取り引き成立、と家族を車で去らせようとした時

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いきなりカタンガが走行中の車に発砲し、ジョーは阻止しようとするが車は破損して停車・・・

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さらに流れ弾がロスとファウストに当たり、ファウストは死亡。

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ロスは重傷を負い、再び家族を人質に医者を連れてくるようジョーへ命令する。

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モイラとジョーは町へ車を走らせ、銃で脅して医者を車に乗せると猛ダッシュで小屋へ急ぐ。

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そのころ、ロスは出血がひどく意識朦朧・・・

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カタンガは金を奪って逃げる算段をし、ロスのすきを狙う。
ファビアンヌはロスが正気を維持するよう必死に介護するが・・・

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一方、ジョーたちはスピード違反で白バイに追われていた。

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ロスはもう虫の息・・・

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とうとうカタンガが優勢となり、とっさにファビアンヌはミシェルを連れて小屋を飛び出した。

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ファビアンヌは草に放火し、追ってくるカタンガの目を欺こうとするが絶体絶命!

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そこへジョーたちが戻り、

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三たび家族を人質にされたジョーは最初の麻薬取り引き場所へヨットを出す。
今度は家族も一緒だ。

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最後のチャンス・・・ジョーは照明弾に気づき、

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すきをついてカタンガへ向けて発砲!

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火だるまになったカタンガは火のついた金諸共海へ落下し、家族の危機は回避された。

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港に戻ったジョーたちは家族の平穏を取り戻し、パリ際でにぎわう雑踏に紛れるのだった。

予告編

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日本では「マンダム」CMが茶の間を席巻した1970年、「さらば友よ」「ウエスタン」「雨の訪問者」「狼の挽歌」とヨーロッパ映画に吹き荒れたブロンソン旋風の快進撃と見事にリンクし、絶頂期の乗りが爽快なサスペンス・アクションだ。

原作は「激突!」「ヘルハウス」リチャード・マシスン

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監督はテレンス・ヤング
007シリーズはじめ、娯楽大作を手掛けたら超一級の手並みを見せていた名匠で、ブロンソンとはこの後「レッド・サン」「バラキ」と続く。

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「狼の挽歌」に引き続きブロンソン夫人ジル・アイアランド共演という点でも当時注目だった。

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次回作「レッド・サン」でもウルスラ・アンドレスのクリスチーナ役をジルが演じる予定だったようだが妊娠のため実現しなかったのがちょっと残念。
ただ、これに関しては話題性も含め、アンドレスで結果オーライだったかもしれない。

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ブロンソン黄金期の真っ只中・・・・いやブロンソンだけではない、ヨーロッパ映画も活気づいていたころでカトリーヌ・ドヌーヴアラン・ドロンジャン・ポール・ベルモンドマルチェロ・マストロヤンニソフィア・ローレンクラウディア・カルディナーレ・・・アメリカではクリント・イーストウッドスティーヴ・マックィーンジェームズ・コバーンロバート・レッドフォードジェーン・フォンダダスティン・ホフマンバート・レイノルズ・・・この時代は多くの個性派名優たちが絶頂期をむかえ、それぞれに自分流の映画をひっさげてひしめいていた。

私はそんな時代の中で映画心を育んでこれたことを本当に幸いに思う。

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