CINEMA NOTE: 2012年5月

「狼男アメリカン」An American Werewolf in London
1981年／アメリカ映画

Poster

脚本・監督：ジョン・ランディス
撮影：ロバート・ペインター
特殊メイク：リック・ベーカー（アカデミー特殊メイク賞受賞）
音楽：エルマー・バーンスタイン

挿入歌
ボビー・ヴィントン／サム・クック／ザ・マーセルズ「ブルームーン」
ヴァン・モリソン「ムーン・ダンス」
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル「バッドムーン・ライジング」

出演
デヴィッド・ノートン　　　（デヴィッド・ケスラー）
グリッフィン・ダン　　　　（ジャック・グッドマン）
ジェニー・アガター　　　（アレックス・プライス：看護婦）
ジョン・ウッドバイン　　　（ドクター・ハーシュ）
ブライアン・グローヴァー（チェスプレイヤー）
フランク・オズ　　　　　　（ミスター・コリンズ）

タイトルソング「ブルームーン」（歌：ボビー・ヴィントン）

ヒッチハイクでイギリスを旅するアメリカ人デヴィッド（ノートン）とジャック（ダン）の二人組

日も落ちるころ、ある村落で休息をとることに。

パブ「スローター・ラム」・・・（不気味な看板だ・・・）

店に入ると地元の常連らしき客たちの冷たい視線を受ける。
無愛想で取っ付きにくそうだ。
デヴィッドたちは「アラモ」ネタのジョークをとばし、それをきっかけに客たちとうちとけそうにも思えたが

壁に施された印しが何なのか

聞いたとたんに険悪なムードへ引き戻り、追い出されるようにパブを出ようとした背中越しに
「道を外れるな、月夜に気をつけるんだぞ。」と忠告される。

歩いていると何処からか遠吠えが聞こえ、

満月なのに気づく。

「きっとコヨーテか何かだよ。」「イギリスにコヨーテなんかいるもんか。」

・・・おまけにいつの間にか道を外れてるぞ。

デヴィッドたちは空恐ろしさを感じ、道へ戻ろうとするが迷ってしまったようだ。

と、そばで荒い鼻息が聞こえ、突然何かがデヴィッドたちを襲った！

ジャックはその鋭い爪で引き裂かれ、即死！
デヴィッドも負傷する。

そこへ心配になったパブの連中が駆けつけ、怪物を銃でしとめるが、

デヴィッドが意識朦朧の中怪物を横目にすると普通の人間だった・・・

デヴィッドはロンドンの病院で目覚め、

看護婦アレックス（アガター）の手あつい看護にメロメロ・・・

しかし毎夜悪夢にうなされ、

目覚めたかと思うと

それも悪夢という変な夢に悩まされる。

そして、デヴィッドが明らかに目覚めている時、

目の前に死んだはずのジャックがズタズタの容姿で現れる。

「俺たちは狼人間に襲われたんだ。」
「デビッド、君はいずれ狼人間になって人を殺すぞ。そうなる前に何をすべきかわかるよな。」

ジャックは死霊となってデヴィッドへ忠告に来たのだ。

ジャックの姿はデヴィッドにだけ見えている。

デヴィッドの傷は回復し、退院してアレックスの家でやっかいになることに・・・

アレックスはデヴィッドに惚れており、デヴィッドもまんざらではない。

「ムーン・ダンス」（歌：ミーコ）本編ではヴァン・モリソンが歌う。

で、こんなことに・・・・（うらやましい）

だが、ここにも前より腐敗した姿のジャックが現れる。

「明日の夜は満月だ、手遅れになる前に自ら命を絶つんだ。」

デヴィッドはこれもただの悪夢の延長なんだと自分に言い聞かせるが、

とうとうその時がやって来た・・・

見る見るおぞましい姿に変身するデヴィッド・・・

狼人間となったデヴィッドは街に繰り出し、

次々と人を襲う。

翌朝、デヴィッドは動物園の狼の檻の中で目覚め、

事態を悟ったデヴィッドはアレックスのもとを去る。

家族にも別れを告げ、自殺しようとするがどうしてもできない・・・

と、ジャックが三たび現れ、ポルノ映画館に入るよう誘う。

そこにはジャックだけでなく

デヴィッドが昨夜餌食にして死霊となった人々が待っており、さっさと決着をつけるよう促すが

また夜になり再び狼人間に変身したデヴィッドはついにロンドンの街なかで大暴れ！

もはや駆けつけたアレックスの言葉も通じず、

狙撃隊の一斉射撃で幕を閉じるのだった。

オリジナルスコア（音楽：エルマー・バーンスタイン）

---------------------------------------------------------------

コメディタッチを得意とするランディスの演出の下、デヴィッド・ノートンとグリッフィン・ダンのかけあいも面白いが、それとは対照的でグロテスクな変身シーンの体毛がのびていく特撮やリック・ベーカーの特殊メイクにもなかなかインパクトがあった。ベーカーはこれでアカデミー特殊メイク賞を受賞。

また、看護婦を演じたジェニー・アガターの普通っぽい中にある美しさが魅力的で印象に残る。

同年、同じく狼人間を扱ったジョー・ダンテ監督の「ハウリング」も話題となったように８０年代はちょっとした狼人間映画ブームで、その変身シーンにそれぞれ趣向を凝らしていたものだった。
「ウルフェン」(1981)やマイケル・Ｊ・フォックスの「ティーン・ウルフ」(1985)、ニール・ジョーダン監督の「狼の血族」(1984)、スティーブン・キングも「死霊の牙」(1985)で取り上げている。

Thriller3
後の1983年、この映画の製作スタッフ（監督ランディス、撮影ペインター、劇中音楽バーンスタイン、特殊メイクリック・ベーカーら）がマイケル・ジャクソンのミュージックビデオ「スリラー」に着手し、史上空前の大ヒットとなったことは承知の通り。

そんな経緯からもＭＴＶはじめミュージック・クリップの一大ブームを確立したのみにあらず、マイケル・ジャクソンをスーパースターに押し上げたきっかけに当たるのがこの「狼男アメリカン」なのだ。

Postera

「マルセイユ特急」 The Marseille Contract
1974年／イギリス・フランス合作

監督：ロバート・パリッシュ
撮影：ダグラス・スローカム
音楽：ロイ・バッド

出演
アンソニー・クィン　　　　　　　（ベンチュラ）
マイケル・ケイン　　　　　　　（ドレー）
ジェームズ・メイスン　　　　　（ブリザール）
モーリス・ロネ　　　　　　　　　（ブリアック警部）
モーリン・カーウィン　　　　　（ルシエンヌ）
アレキサンドラ・スチュワルト（リタ）
カトリーヌ・ルーベル　　　　（ブリザールの愛人）
マルセル・ボザッフィ

フランス、アメリカ大使館つけの麻薬取り締まり官ベンチュラ（クィン）は巨大な麻薬組織の黒幕が財界の大物ブリザール（メイスン）であることをつきとめるがなかなかシッポをつかめない。

捜査に動員した部下も次々と抹殺されてしまうありさま・・・

メイン・テーマ（音楽：ロイ・バッド）これはアルバムバージョン

成すすべもなくイラつくばかりのベンチュラ・・・

とうとうベンチュラにまで殺し屋たちの手が及び、

スキをついて辛うじて逃げ切る。

見かねたフランスのブリアック警部（ロネ）はこちらも殺し屋を雇って非合法にブリザールを葬る提案をし、

ベンチュラにあるプロの殺し屋を紹介するが

その男はベンチュラの旧友ドレー（ケイン）であったことに驚く。

ドレーは仕事を引き受け、

まずブリザールの娘ルシエンヌ（モーリン・カーウィン）に近づくことに・・・

ルシエンヌを口解いて

うまくブリザールに近づくが

用心深いブリザールはドレーの正体を見破り、

仕事の片棒をかつがせるふりをしてドレーに麻薬をつかませ、

罠にはめようとすが

そこはプロ、ドレーはとっさに罠を回避する。

ブリザールはおかかえの殺し屋たちに執拗にドレーを追わせるが、ドレーはまんまとそれらをかわしてしまう。

一方マルセイユで大きな麻薬取り引きが行われるという情報を聞き付けたベンチュラはこれでブリザール一味を一網打尽にできるとふみ、着々と現場押さえの準備をかためる。

ブリザール打倒のメドがついたベンチュラはドレーに仕事のキャンセルを告げるが、

ドレーは一度受けた仕事へのプロとしてのプライドとして取り引き場所を独自に突き止め、

ベンチュラと共に取り引き現場をおさえることに加担するが

居合わせたブリアック警部はブリザールをその場で殺そうとし、

逆に隠れていた一味の銃弾をあびる。

そして、ブリザールを乗せて逃げるクルマへ無謀な体勢で銃を向けたドレーまでも銃弾に倒れてしまう。

ブリザールは逃亡、結局組織壊滅に至らぬ結果に・・・

ドレー、