ヘル
「ヘル」 Hell
2011年/ドイツ・スイス合作映画
製作総指揮:ローランド・エメリッヒ
監督:ティム・フェールバウム
音楽:ロレンツ・ダンゲル
出演
ハンナー・ヘルツシュプルング(マリー)
ラース・アイディンガー (フィリップ)
スタイプ・エルツェッグ (トム)
アンゲラ・ヴィンクラー (老女)
リサ・ヴィカリ (レオニー)
「インディペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」「2012」のローランド・エメリッヒ監督が自国ドイツで製作総指揮に当たった世紀末映画。
2016年、太陽に異変が起こり、地球の日中は灼熱地獄に・・・
わずかに生き残った人々には先の見えないサバイバルの日々が強いられる。
マリー(ハンナー・ヘルツシュプルング)は恋人フィリップ(ラース・アイディンガー)、
マリーの妹レオニー(リサ・ヴィカリ)と住み良い場所を求めて旅を続けている。
年ごろのレオニーはマリーたちの馴れ合いをあてつけがましく思っている。
ふと空に鳥を見つけたフィリップ・・・
近くに鳥が生息できる環境地域があるはずだ。
荒廃したガソリンスタンドに立ち寄り、
燃料や物資をあさるが、
収穫は微々たるもの・・・
そこで空腹のトム(スタイプ・エルツェッグ)と出会い、
悪気はないと判断したフィリップは
食糧を分け与え、
トムも旅の仲間となった。
途中、故意に置かれた障害物に阻まれ、
転落したクルマを見つけて辺りを捜索しているすきに
マリーらのクルマが乗っていたレオニー諸共何者かに奪われてしまった。
マリーたちは線路脇でクルマを奪った輩を見つけて車を奪い返すがトムとはぐれ、フィリップは足を負傷してしまう。
トンネルで動けなくなったフィリップを残し、拉致されたレオニーを探すマリーは
教会で休息中 老女(アンゲラ・ヴィンクラー)と出会い、
ある家屋へ連れていかれるが
外を覗いているとトンネルに残ったフィリップが捕まっており、
妹レオニーも・・・
老女はマリーらを息子たちの伴侶に当てたい思惑があったのだ。
マリーは従順なふりを装い、
妹を先に逃がす。
が、そこに暮らす家族は捕獲した人間を食糧にしていた。
フィリップはマリーの目前で食糧として捌かれてしまった。
ここにいれば食糧にされるか、仲間になるか・・・それしかない。
マリーは決死の脱出をはかる。
はぐれていたトムとも合流し、食糧として閉じ込められていた人々を解放するが、
マリーたちは理想の地へたどりつけるか・・・
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生きることに必死で、法も秩序もない絶望的な世界・・・
それを淡々と見せる。
人間らしく生きる余裕もない環境では尚更なことで、それぞれのテリトリーの中で独自の秩序が出来上がるのもわかる。
老女もこんな環境でなければ良い母親だったに違いない。
教会に出向いたのもたぶん今の行いに対する負い目とその許しを請うためなのだ。
ここでは極端に見えるかもしれないが、すでに人間社会は心に余裕のない世界にさしかかっているんじゃないか?・・・と言っているようにも思える。
予告編
大作づいてしまったエメリッヒだが、大スケールよりもこういう小作品の中で人間の本音の部分をつついてみたくなったのかもしれない。
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